ガイドブックに少しだけ載っている街

GWは案外普通列車に乗るだけの旅をするのに向いている。混んでいるのはいわゆる観光地と言われる場所と飛行機と新幹線ぐらいで、ふだんの休日に列車に乗るようなやつはそういうところに集まっている。加えて、GWは青春18きっぷの期間ではないので18きっぷがないと旅行しない人もいない。JR各社の発売する「おとくなきっぷ」もだいたい使えないから、普段普通列車で移動しない層がわざわざ普通列車に移動してくることもない。宿泊場所もいわゆる観光地を避けて工業都市とかのビジネスホテルを選んでおけばびっくりするほど高い値段になる訳でもない。たとえば別府ではなく大分に泊まるようにする。

そうやってGWはいつも長い普通乗車券を作って旅行してきたのだけど、最近は窓口が減らされたせいでどこの窓口も大混雑で、窓口に並んで乗車券を作る気にならない。それなのでもう鉄道を使う旅行はやめて、ここ数年は飛行機の旅行に切り替えている。下関とか佐世保とか、ガイドブックに全く載っていない訳ではないが、見開き2~3ページにわたって掲載されていればいいような、そんな場所に2~3日いることがいまは割と気に入っている。佐世保の扱いが思ったより小さかったのは結構驚いたが、世間は佐世保の街ではなく、九十九島のほうに観光地としての価値を認め、その情報を欲しているのかもしれない。

内申のために部活に追われる学生にGWというものは存在しない。だいたい大会があるか、文化系の部活だと本番が1個入っている。私の学生時代もそうだった。さあ大型連休、といって張り切っているのはそれ以上の人たちとそれ以下のひとたちで、そうじゃない人たちは案外いつもの休日とそれほど違わない生活をしている。GWに普通列車を乗り継いでも、車内はいつもの休日のような世界が流れている。