なにも浮かばず、そしてまた深淵がはじまる

この一週間ぐらい何も浮かばない。いろんなことに気が付かないぐらい身の回りに余裕がない。まあでも改めてそう思い返さなくてもそうなのだろう。早く週末が来ないかと待ち焦がれる半面、週末を過ぎればまた新しい深淵がそこにある。休みのことを考えると、休みそのものではなく、それが終わったあとのことを考えていつも絶望してしまうのはずっと変わっていない。そう考えると変わっていない。まだ変わっていないのかもしれないし、もう変わらないのかもしれない。

 

何も浮かばない。

幸いにして都市対抗の二次予選が始まっている。2020年以降、無観客試合を契機としてアマチュア野球のライブ配信がだいぶ一般的になった。それ以前はほんの一部の物好きがツイキャスで配信しているのを聴く以外、実際に野球場に足を運ばなければ社会人野球を見られなかったが、いまでは各連盟がYoutubeチャンネルを持っていて、ライブ配信をしてくれるしアーカイブも残してくれる。それをぼんやりと眺めながらただ時間が過ぎるのに任せていると、読書も何等かのものを描いたり作ったりしない人はテレビやドラマなどを見て時間を潰しているのだな、と思ってみたりする。

でもやっぱり都市対抗の予選は楽しい。強豪企業チームがずらっと並んだ地獄感は東海地区に勝るものはなく、「このメンツの中からあと1チームしか出られないんですか……?」という絶望感は九州・東北の第二代表決定トーナメントに勝るものはない。今年は近畿地区が全試合配信、東海を配信するチャンネルミクスは今年からトヨタ自動車の試合も中継に加えてくれている(去年は三菱自動車岡崎の試合と代表決定戦だけだった。トヨタが強いからか)。

本戦は本戦で一発勝負のトーナメントなのだけど、どこか「晴れ舞台」「お祭り」という空気も漂う。予選は本当に純粋な野球の試合だ。ほとんどの試合が「負けたら終わり」というわけではないけれど、ピリピリとした緊張感がある。全国を決めたチームには「喜び」よりも「安堵」の感情が多く見えることもある。数十~百いくつもある学校のなかから1校しか出られない高校野球とは違う。10数チームのなかから2~5チームが出られる大会なのだ。だからこそ、「出て当然」のようなプレッシャーがある。

などと書いていたら今日の中継カードはすべて雨天中止になった。仕方なく本を読んで過ごす。そしてまた深淵がはじまる。