掃除の時間のBGM

小学校や中学校で掃除の時間にBGMが流れていたのはなぜなのだろう。小学校の頃、掃除の時間に音楽が流れ始めた時は姫神の「見上げれば花びら」で、途中からシューベルトの「ます」に変わったし、中学校ではエレクトリカルパレードだった。どっちも選曲意図を問い詰めたい。でもどうせ「曲の長さが決められた掃除の時間にぴったりだから」とかそんな理由なのだろう。

しかし掃除嫌いの私が家で掃除をするときのBGMに相応しいのはやはり大日本帝国時代の軍歌をおいて他にない。これぐらいの曲を以て身を奮い立たせ、やらねば死ぬぐらいの覚悟で望むしかない。

天に代わりて不義を討つ
忠勇無双の我が兵は
歓呼の声に送られて
今ぞ出で立つ父母の国
勝たつば生きて還らじと
誓う心の勇ましさ
日本陸軍

 

敵の亡󠄁ぶる夫迄は 進󠄁めや進󠄁め諸󠄀共に
玉散る剣抜き連󠄀れて 死ぬる覚悟で進󠄁むべし
(抜刀隊*1

いい。掃除が嫌いな人にとって、掃除とはこれぐらいの覚悟で望むものである。なんと相応しい歌詞に勇ましいメロディーではないか。

ただ、こういう曲をBGMに風呂掃除や換気扇の掃除をしていると、ふと「ああ”戦意高揚”ってこういうことなんだな」と思い、なんとなく戦争を正当化させられていく様子を疑似体験しているような気がしてきて、なんだか複雑な気分になる。

そしてこんなもんを学校を掃除の時間に流したらすぐさま教職員団体が放送室にすっ飛んできそうだ。だからエレクトリカルパレードぐらい底抜けに明るい曲ぐらいでちょうどいいのかもしれない。

*1:「抜刀隊」が作られたのは西南戦争の時であるため、「敵の大将たる者󠄁は 古今無双の英雄で」と歌われている「敵の大将」とはもちろん西郷隆盛のことである。しかし掃除は内戦ではないので立ち向かうのは別に英雄でもなんでもない。