2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

何が「帆船」かはちゃんと法律で定義されている

国立科学博物館の「海 生命のみなもと」展で一番印象に残ったのは最新のテクノロジーを結集させて作った「帆船」だった。どうしたら化石燃料の使用を減らせるか考えた結果、行き着いた先が古代エジプトの時代から使われていた帆の技術だった、というのが感慨…

もらった本が読めない

大学の近くの古本屋やブックオフはやたらと詩歌関係の本が充実していて、当時大変お世話になっていたのだが、たまに「謹呈」と書かれた栞が挟んであったり、ひどいときには割と最近出た本なのに著者直筆で「○○様へ」と扉に書かれているものまであった。 たぶ…

指定席獲得狂騒曲

こだわり始めると指定席ひとつ取るのも大変で、景色がいいのは進行方向のどちらなのか、それは車両で言うA席なのかD席なのか。あるいは、座席2つで窓が1つの窓の車両の場合、視界が大きくなるのは奇数偶数どちらになるか、というのもある。観光列車によって…

碧ヶ浦は静かに暮らしたい

やらなくてもいいことをやる元気はあるけれど、やらなければいけないことをやる気力は残っていない。今の症状はそんな感じ。まあ、生存を続けていく最低限度の気力がないのは困るけれど、毎日ポジティブに楽しくハッピー! みたいなテンションでいたいとまで…

手帳の用途は考えない

来年手帳をどう使おうかとか、基本的にあまり細かく考えない。最初からどう使うか決めたところで、それのまま1年間を走りきれる訳がない。だから最初から考えない。考えるだけ無駄なのである。せいぜい、仕事とそれ以外の手帳を分けているぐらいである。仕事…

ちゃんと恋愛したうえでの結婚したくないという結論について

会社の飲み会で結婚する予定があるかと訊かれたとき、「0から100で言えば0」と入社以来ずっと言い続けてきたけど、「そんなこと言っても、いい人がいたら結婚するんでしょ」と軽くあしらわれ続けてきた。それが最近ようやく「お前は趣味が多すぎて無理だと思…

銀座伊東屋はいつも試験を受けた思い出とともにある

うっかり数年前に簿記2級などというものを取ってしまったので経理の仕事もすることになった。当初2級なんと取る予定は全く無く、他の人の付き合いで始めたのだが、気がついたら私が最初に受かっていた。第151回というあの回である。 あの回は試験当日に見た…

カラーブックス「日本の私鉄」シリーズ

子供の頃、保育社が刊行していたカラーブックスという文庫本サイズのレーベルの「日本の私鉄」というシリーズの本たちに囲まれて育った。(たぶん)父が持っていたものだ。祖父も曽祖父も国鉄マンという家系の母と、ただの鉄道好きの父の間に生まれて、そう…

夜なんて明けなければいい

部屋の明かりを点ける。この部屋は今日の終点。ここから先は、もうどこにもつながっていない。今日はもう何もしなくてもいいと思うと安心する。ようやく、自分だけの時間が訪れる。 眠るのが怖い。このままこの夜がいつまでも続いて、明日なんて永遠に訪れな…

コーヒーを手で挽いてペーパーで淹れていた理由

在宅勤務をしていた頃は、コーヒーを豆で買って家で飲んでいた。昼休み、15時ごろ、夜の1日3回、ハンドミルで豆を挽いて、ハリオのV60で淹れていた。だから1日3回合計45分ぐらいは、コーヒーを淹れる時間に割いていた。 コーヒーを豆で買ってくるのはどんな…

「サンライズ瀬戸・出雲運」みたいなものがある

物凄く悪い言い方をすると私にとって「サンライズ瀬戸・出雲」はただの「私を朝6時30分に岡山に運んでくれる列車」にすぎない。サンライズに乗るのが目的だったのは最初の1回だけだった、と言っても過言ではないかもしれない。だから最近は酒や肴を買って列…

北杜夫『どくとるマンボウ航海記』

どうしてこの本が家にやってきたのか。マンボウが好きになった姉が「この本を欲しい」と言ったのか、それとも新潮文庫版の表紙を見てマンボウが主人公だと誤認した母が姉に買い与えたのか、もう20年以上前の話なので真相は知らない。実際に航海をするのはマ…

空白を埋めるように、朝

昨晩冷房を切り忘れたと錯覚するぐらい部屋は冷たいのに、遮光カーテンの向こう側は昨日と同じ夏の青空が眩しい。 やらなければいけないことはあるけれど、やりたいことはない。予定はない。10年経てば、いや1年でも、下手をしたら1週間後には、もう「過去」…

なにも食べたくない

「三度の飯より……」という言葉があるけれど、三度の飯があまり好きでない。 昔は単に面倒くさかった。まず最初に片付けが面倒になり、次に考えるのが面倒になり、作るのが面倒になって最後には食べるのが面倒になる。 しかし、最近はどうも「食べるという行…

飛行機が遅れるたびに夕食が増えていく(徳島紀行: 12了)

実質30分ぐらいしか夕食の時間を見込んでいなかったから、すぐに出てきそうな徳島バーガーだけで夕食を済ませて保安検査場を通過してしまおうかと思ったのだが、30分余計に時間ができた。だから、徳島バーガーが眼の前に出たときに、別のものも食べよう、と…

ご自由にお持ちください。

読み手を想定して書く、というのがどうしてもできない。想像力がないのだと思う。でもそれは「何か」を発信する行為のときに必要なのであって、私みたいに別に何かを発信したい訳ではない人にはそんなこと必要ないのかもしれない。 言葉は伝達のためにあるの…

徳島を観光するのに公共交通機関しか使わない人間なんて存在しないのか(徳島紀行: 11)

列車の写真をいちばんきれいに撮れるのは終着駅に着いて客がみんな降りたあとだから、列車から降りてもしばらくホームにいることが多い。ただ、「藍よしのがわトロッコ」の徳島着は16時57分で、帰りの飛行機に接続するリムジンバスの発車時刻は17時35分だか…

コーヒー一杯分のつながり

最近のコーヒー屋は名前が長い。しかしコーヒー屋を表す「コーヒーロースターズ」だけで10文字を持っていかれるから仕方がない。そういう名前の店によくある、狭い店内にレジと焙煎機、椅子が2~3だけというようないわゆるコーヒースタンドというのは、あ…

トロッコ列車では手帳は書けない(徳島紀行: 10)

「藍よしのがわトロッコ」の発車まで少し時間があったので、阿波池田の駅前をちょっとだけ歩いてみた。池田といえば未だに池田高校らしい。池田高校野球部を率いていた蔦監督は思ったより地元では神格化されていて、駅のコンビニには蔦監督をキャラクターに…

徳島にいったい何があるというんですか?(徳島紀行: 9)

「みなさん何が目的で徳島に来られるんでしょうねえ」 脇町のうだつの街並みから少し離れたところのコーヒースタンドで、コロンビアの浅煎りを淹れてもらっている間、そういう話をした。 四国を回っている感じですか、とも訊かれた。いえ、徳島だけなんです…

夏の寝落ちは叙情。

冬の寝落ちは悲劇だが、夏の寝落ちは叙情だ。後悔と、眠気と、ほんの少しの叙情。一秒でも早くこの時間を通り過ぎて眠りに入らないといけないという焦りと、いつ寝始めたかわからないぐらい寝たんだし、という諦めと、どうせすぐには眠れないだろうという達…

予定がない土曜日は、国会図書館に行く

なんにも予定がない土曜日は、国会図書館に行くに限る。 そこで何をするのでもない。最近蓄積した疑問を解決しにいったり、適当に先祖の名前を入れてみて、先祖に関する資料が新しく入っていないか確認してみたり、近くの図書館や古本屋には置いていないよう…

特急「剣山」の指定席(徳島紀行: 8)

徳島9時ちょうど発の特急「剣山3号」*1も2両編成である。時刻表巻末の編成表を見ると1号車の半分が指定席のように見えるが、指定席は半分もなく、15列60席あるうちの4列、16席しかない。残りは全て自由席で、その自由席に乗っている客もせいぜい7~8人ぐらい…

台風出勤手当

台風の朝に物凄く早く会社に来るのは別に愛社精神でもなんでもなく、単にクソ混んでる電車や駅に何時間も閉じ込められたくないからで、始業の2時間前から開いているはずの喫茶店で始業まで時間をつぶそうと思ったら店が台風で休みだったから仕方なく始業の2…

貴方の好きな法律はなんですか。

好きな法律は何かと訊かれたときのために「国民の祝日に関する法律」という答えを準備しているが、まだ一度も訊かれたことがない。このたった三条しかない法律の、第一条が素晴らしいので全文を引用する。 第一条 自由と平和を求めてやまない日本国民は、美…

大塚国際美術館で、「美術」について考える(徳島紀行: 7)

大塚国際美術館にある1000点以上の展示物のなかで、「本物」を見たことがあるのは、ベラスケスの《卵を料理する老女と少年》だけである*1。自分が見たドーミエの《三等客車》はメトロポリタン美術館所蔵のものだし、イヴ・クラインの《無題(青のモノクロー…

大塚国際美術館の正しいめぐり方(徳島紀行: 6)

まず大塚国際美術館は美術館ではなく「美術テーマパーク」であるという認識で行くべきである。そうすれば、3300円という入館料(2023年8月現在)も、やたら客に未就学児が多いのも、そして導線全長4キロという途方もない大きさも理解できるかと思う。 逆に言…

13年前に出会いたかった

それから先月出た『コンプレックス・プリズム』(大和書房)と『神様の友達の友達の友達はぼく』(筑摩書房)を読んだ。後者が電子になってくれないのが不満だけど、ああいう構成なら仕方がないとも思う(行分けではない詩集ではたまにあるやり口である。た…

フリーきっぷは無敵アイテム

欲しい鉄道模型があるのだけど、秋葉原で中古屋を7店舗漁ったのに見つからない。オンラインの某中古屋でプレミア価格で1点ある他はどこにもない。秋葉原で7件回ってなかったら多分ないのだけど、千葉に目を向けると中古を取り扱う模型屋がいくつかあることが…

9月のモザイク

8月が終わって9月になる。朝のラジオはこぞってEarth, Wind & Fireの”September”を流す。今日を逃せば来年の9月1日まで流す機会がないとでもいうように。まだ外の日差しだけを切り取ると昨日と大差ないのだけど、「全く同じではない」というところや、 日陰…