飛行機が遅れるたびに夕食が増えていく(徳島紀行: 12了)

実質30分ぐらいしか夕食の時間を見込んでいなかったから、すぐに出てきそうな徳島バーガーだけで夕食を済ませて保安検査場を通過してしまおうかと思ったのだが、30分余計に時間ができた。だから、徳島バーガーが眼の前に出たときに、別のものも食べよう、と思った。佐世保で出てくる佐世保バーガーより一回り小さいサイズだが、佐世保バーガーのように上から押しつぶして食べるものなのかは、他に誰も徳島バーガーを食べていないのでわからない。

それですぐ横にある徳島ラーメンの店でラーメンを食べた。ハーフサイズではなくて普通のサイズのラーメンにした。何分30分も余計にある。ゆっくり待ってゆっくり食べていたらもう1回メールが来て、更に20分遅れるという。あとは肉吸いの店やちゃんとした定食を出す店などがあるがさすがにもう食べる気にはなれない。

展望デッキは屋内にあるが、飛行機はどこにもいない。たぶんしばらくしたら福岡行きというJALの飛行機が来るのだろう。土産物屋がいくつかあるが、基本的に羽田と福岡にしか定期便がない小さい空港で、さすがにもう見るものもなくなって、保安検査場を通って出発を待つことにした。トロッコ列車の中で書けなかったノートの続きを書く。

旅行ノートの書き方的な本を読んだことがあって、「ノートは移動中に書きましょう」みたいなことを書いてあった。まるで移動中は旅行ではなくノートを書く時間であるかのような書きぶりで、やはり世間一般の人は移動の時間はただの移動の時間なんだなと思う。確かに飛行機の真ん中の島に乗ってしまうとそんな感覚になる。でも列車の窓際が取れたのに、そこから見える景色をなんとも思わず、ただの移動時間と捉えてノートを書くための、過去を思い出す時間にしてしまうのはなんだか勿体ない気がする。

このままだと出発は20時20分だ。東京行きの最終はJALの20時40分で、これと大差ないなと思っていると、このJALの便も遅れるという。今日の徳島便は一体何なのだろう。

結局ほぼちょうど一時間遅れの20時24分に出発した。ボーイング737-800という小さい飛行機である。今までで一番小さくて、短いフライト。私もついに四国からの帰りに飛行機を使うようになったか、と思う。今夜は晴れておりますので景色がよく見えるように室内の照明を暗くします、というアナウンスがあり、事実室内が暗くなったのだが、ちょうど紀伊半島の上空、熊野山地に差し掛かる頃で、下には何も見えなかった。

出発当初の到着予定よりさらに10分過ぎた21時44分に羽田に着いた。新千歳や福岡便にばかり乗っていたから、初めてボーディングブリッジではなくタラップカーで飛行機を降りて、そこからバスでターミナルに連れて行かれるという経験をした。