徳島を観光するのに公共交通機関しか使わない人間なんて存在しないのか(徳島紀行: 11)

列車の写真をいちばんきれいに撮れるのは終着駅に着いて客がみんな降りたあとだから、列車から降りてもしばらくホームにいることが多い。ただ、「藍よしのがわトロッコ」の徳島着は16時57分で、帰りの飛行機に接続するリムジンバスの発車時刻は17時35分だから、「お見送り」の時間を含めると実質20分ぐらいしかないものと思われる。さらに空港までは30分ぐらいかかるうえ、保安検査場の通過締め切り20分前の19時5分までに夕食を済ませ土産を買わないといけないから、ここから先が慌ただしい。

幸いにも「藍よしのがわトロッコ」は徳島到着後5分ぐらいでホームから離れていった。駅の地下のコインロッカーから荷物を引っ張り出し、土産物屋である程度目星をつけておいた土産を買う。こういうときに限って前の客が「業者か?」と思うぐらい大量の土産物を買い込んで宅配便の手配などをするものである*1

それでもこの全ての行程を10分程度で終え、急いでリムジンバス乗り場に向かう。乗車券は朝のうちに買ってある*2。何分、今日の19時25分発ANA286便は満席なのである。しかしいざ乗り場に着くと発車20分前だからか人はまばらであった。このあと人が増えていくのかと思ったら大して人は増えず、17時35分の発車になっても、4列のシートに3人以上座っている箇所なんてどこにもないぐらいの混雑度だった。そうか、みんなレンタカーなりで空港に向かうのであって、徳島を観光するのに公共交通機関しか使わない人間なんて存在しないのか、とこのとき初めて思った。

空港に向かうとき、だいたい途中で管制塔なり離着陸する飛行機が見えてきて、「あああのあたりが空港なのだろうな」と思うものなのだが、徳島空港の場合は全くそのような気配を感じさせず、突然目の前に滑走路が現れる。ようやく「ああここが空港なんだな」と思う。

そんな頃iPhoneにメールが入って、ANA286便の出発が35分も遅れるという。じゃあ徳島駅で慌てて土産物を買う必要もなかったし、ゆっくり夕食も食えるな、と思った。保安検査場通過締切後に出発が30分遅れます、とアナウンスするスターフライヤーとは大違いだ*3、と思っていたらバスは徳島阿波おどり空港の所定の位置についてドアを開けた。

*1:菓子かラーメンか何かのデカい箱を15箱ぐらい買い込んでいた

*2:徳島県には公共交通機関ICカードで乗るという文化はないが、リムジンバスの乗車券の購入にだけはICカードを使うことができる

*3:フライト情報を見ていたら折返しとなる機材がどう考えても出発時刻に間に合わないのに遅れ見込みのアナウンスを全く出さないので慌てて飯を食べたら保安検査場通過後に遅れのアナウンスを出されたことがある。