徳島8時26分発鳴門行き4954Dを巡る攻防(徳島紀行: 5)

ホテルの近くの喫茶店でモーニングを食べ、8時6分の鳴門行に間に合うように店を出た。しかし駅の案内表示を見てもどこにも8時6分という列車はない。次の鳴門行きは8時26分であり、その前は7時30分である。どうやら一体何を勘違いしていたのか、8時26分発を8時6分発と手帳に書いていたらしい。だからまだ発車まで40分もある。さすがに40分は早い。しかしやることもないし、暇なら駅の中で発着する列車を眺めていたほうが楽しいので、改札を抜けてホームに入り、8時26分発の鳴門行きが発車するという4番ホームに向かう。鳴門行きは1両だという。1両か、と思う。ホームには鳴門行き、阿南行き、と書かれた看板が立っている。

4両でやってくる特急「剣山」などを見ていたらもう4番ホームに列車が入ってくるという。やってきたのは緑色の3両編成のディーゼルカーで、入ってくるその列車の写真を撮るべくiPhoneをかざした瞬間、ホームに立っていたあの立て看板の存在を思い出し、私はすべてを察した。

この列車の前1両が鳴門行きになり、後ろ2両は折返し阿南行きになる。

徳島始発、そうでなくても鳴門方面からの折返しであろうと思われた8時26分発の鳴門行きは、牟岐線の桑野発徳島行き普通列車がそのまま鳴門行きに「化ける」もので、実態としては徳島で後ろ2両を切り離す桑野発鳴門行きなのである。列車のドアが開くと、徳島で降りた人が座っていた席に、ドア近くで立っていた女子高生たちが次々と座っていく。だからあっという間に座席は塞がった。もし、この列車が正しく8時26分発だと思っていたらおそらくあと5分ぐらい後に徳島駅に着くようノコノコと店を出ていたはずで、そうしていたらこの列車には多分座れなかった、少なくとも窓際には座れなかっただろう。

それでも座席が半分ぐらい埋まった状態で徳島の駅を出たのだが、次の駅佐古で高校生が大挙してこの列車を待っている。みな徳島から乗っているのと同じ制服を着ている。彼らで通路まで埋まったので、どこかの駅でみんな降りるだろうと思っていたら勝瑞の手前で徳島北高校、と書かれた建物が見えて、しばらく校舎の横を走っていたら勝瑞の駅に着いて、そこでみんな降りた。建物の1階部分が全部駐輪場になっているのは驚いた。

池谷で高徳線と分かれ、鳴門線に入る。その池谷で乗り換えのため1時間過ごしたことがあるが、鳴門線と乗り換えるため以外の理由で「うずしお」の大半が停まる理由がわからない。駅の跨線橋から南を見ると一面蓮畑なのが印象的だった。

あとはもうみんな鳴門まで行くか、せいぜい降りるとしたら撫養だろうと思っていたらその通りだった。3分遅れで鳴門に着いた。鳴門公園に行くバスとの接続が7分しか無いので乗り場に急いだら、バスのほうもちゃんと5分遅れてきた。