夜行明けの喫茶店ではホットコーヒーを頼みたくなる(徳島紀行: 3)

結局なんだかよくわからないまま定刻通りに高松に着いた。これなら予定通り徳島行きの特急「うずしお5号」に乗り換えられる。「うずしお5号」なら徳島まで乗る予定でいたから、徳島までの自由席特急券を買う。もし「サンライズ瀬戸」が遅れて「うずしお5号」に乗れず、後続の「うずしお7号」に乗ることになったら途中の板野で降りることにしていたから、切符は特に用意していなかった*1。「サンライズ瀬戸」に乗るならある程度遅れることを見込んで旅程を立てておくのが良い。しかも今回の場合、「うずしお7号」に乗ったほうが、ホテルに荷物を預けられなくなるが、次の目的地へは「うずしお5号」に乗ったときより早く着く。しかし「うずしお7号」にも間に合わなかった時のことまではさすがに考えていない。もしそうなっていたら、もうどうにでもなれ、である。

ただ幸い定刻通りに着いてくれたので1時間ばかり高松で時間がある。駅のパン屋か駅前のうどん屋で朝を食べるのがお決まりなのだが、雨が強く降っていたので駅から出るのが面倒くさい。そこで駅ビルの2階の喫茶店に入る。おばちゃんは愛想がないというより一見さんも常連も同じように扱っている感じがした。サンドイッチと、ホットコーヒーを頼む。8月の真ん中なのに、夜行でやってきた朝は暖かいコーヒーを頼みたくなるのはなぜなのだろう。雨でそれほど暑くないからだろうか。

8時26分発の「うずしお5号」を8時36分発と勘違いしていたから、改札を抜けたらもう「うずしお5号」はホームに止まっていた。「うずしお4号」の折返しで、堂々5両編成をホームに横たえているけれど、前3両は車庫に入ってしまい、残りの2両が「うずしお5号」となって徳島に向かう。徳島着は9時36分、徳島で仕事で行くには少し遅い。2両の短い車両に、隣に人が座らないぐらいの客しか乗っていない。

うずしお」の走る高徳線は「こうとくせん」と読む。初めて四国に来た時、高松到着前の乗換案内で「こうそくせん」と聞こえて、「高速船って何だ、宇野まで行くのか」と思った。ただそれだけなのだが、高松から徳島に向かう列車に乗るのは、その初めて四国に来た時以来で、実に8年ぶりになる。この間に使う車両も赤と黄緑を主体にした新しい車両に変わってしまっている。でもこの大好きな四国特有の車内チャイムは変わらないし、列車としても栗林、屋島志度とちょっと走ってはすぐ駅に停まるのも変わらない。

この前は海が見たくて左側の席に座ったのだが、大して海は見えないことがわかったので今日は右側に座る。志度ぐらいで乗ってくる客もほとんどいなくなったし、客は徳島ではなく池谷で降りてしまい、降りた客が鳴門に行く列車が停まっているホームへと向かっていく。多分大塚国際美術館とかに行くのだろう。私もしばらくはそうしようと思っていたが、夜行明けに列車を乗り継いで大塚国際美術館の広さに耐えられるのかわからないのと、サンライズ瀬戸が定時で走ってくれないと行けなくなってしまうのでやめた*2

まだ新幹線になる前の長崎行き「かもめ」が諫早で一斉に客を降ろしたのを思い出した。博多から長崎なら、高速バスも走っている。でも諫早までは走っていない。だから、そういうところに鉄道の強みがあるのではないかなと思ったりした。でも、高松と徳島を結ぶ高速バスは、どうやら鳴門を経由するらしい。

*1:ちなみに、乗車券は徳島まで用意していたが、徳島まで行こうが板野で降りようが、金額は同じである。

*2:そして、この判断が間違っていなかったことを明日知ることになる。