カラーブックス「日本の私鉄」シリーズ

子供の頃、保育社が刊行していたカラーブックスという文庫本サイズのレーベルの「日本の私鉄」というシリーズの本たちに囲まれて育った。(たぶん)父が持っていたものだ。祖父も曽祖父も国鉄マンという家系の母と、ただの鉄道好きの父の間に生まれて、そういう本たちに囲まれて育ったから、鉄道好きになるのは必然だったのかもしれない。

私が大学生ぐらいになる頃にそれらの大半は処分してしまったのだけど、国会図書館の個人送信サービスに登録するとこのカラーブックスたちが読めるようになっている。カラーブックスの「日本の私鉄」は昭和の終わりと平成に入った後の2回出ていて、平成の新しいほうはまだ読めるようにはなっていないのだけど、私はこちらのシリーズに出てくる車輌たちのほうが好きだった。東武スペーシア名鉄パノラマスーパー近鉄アーバンライナーに京成の2代目スカイライナー。彼らに比べれば、最初のシリーズの東武デラックスロマンスカーや京成の初代スカイライナーなんて「格好悪い」とさえ思っていた。

特に西鉄の車両などはどれもお世辞にも格好いいとは言えず、特急用の2000形なんて面長で間抜けな顔をしていて、これが表紙になるような車両だなんて信じられなかった。そんな子供の頃の自分に、「平成最後に乗る電車は西鉄の車両だよ」なんて言ったら、もっと驚くかもしれない。

このシリーズは当然私鉄の車両ばかりだから、どうやってJRの車両たちを覚えていったのか、まるで思い出せない。「私鉄の車両」はつい最近まで家にあったから覚えていただけで、JRの車両はもっと子供向けの本で覚えて、すぐに捨ててしまったのかもしれない。

子供の頃、飽きることなく読み返した、鉄道好きの基礎を作ったと言ってもいい本たち。それが今、インターネットで家にいながらタダで読めるようになっている。子供の頃はカラーの写真ばかり眺めていたけれど、今は写真と写真の間にある解説のほうばかりを読んでいる。