コーヒーを手で挽いてペーパーで淹れていた理由

在宅勤務をしていた頃は、コーヒーを豆で買って家で飲んでいた。昼休み、15時ごろ、夜の1日3回、ハンドミルで豆を挽いて、ハリオのV60で淹れていた。だから1日3回合計45分ぐらいは、コーヒーを淹れる時間に割いていた。

コーヒーを豆で買ってくるのはどんなに頑張っても100gの豆を使い切るのに10日はかかるからで、10日もかかるなら粉より豆で買ったほうがよい。コーヒーメーカーを使わずに手で淹れる理由は単純にコーヒーメーカーを置く場所も電源もないからである。別に手で轢いたり淹れたりするのがいいとかどうこうとか、そういう崇高な理由があったからではない。ハンドミルだと挽かれ方にムラが出たりもあるけれど、所詮は浄水器を通しているとはいえ水道水で淹れているのだし、そこまでの味が出せる訳ではない。そこまでの味を出す必要もない。カレーの作り方は知っているけれど、店で出せるようなおいしいカレーである必要はない。そんな感じだった。仕事で行き詰まったときとかに、豆や湯の量を測って、それをゴリゴリと挽いたり、決められた時間に決められた量のお湯を淹れるのは、その行為自体が気分転換になったりして、もしコーヒーメーカーを使わないことに崇高な理由を後付けするなら多分そういうことになる。

在宅勤務というものがなくなったら、コーヒーを淹れることはなくなった。夜コーヒーを飲みたくなったら近くのコンビニでコーヒーを買えばよくなった。コーヒーメーカーじゃなくてハンドミルとハリオのV60なので、使わなくなっても場所を取らない。棚の片隅に置いておける。コーヒーメーカーを使わない理由は、気軽にこれをやめられることにあったのかもしれないと思っている。