指定席獲得狂騒曲

こだわり始めると指定席ひとつ取るのも大変で、景色がいいのは進行方向のどちらなのか、それは車両で言うA席なのかD席なのか。あるいは、座席2つで窓が1つの窓の車両の場合、視界が大きくなるのは奇数偶数どちらになるか、というのもある。観光列車によってはカウンター席だったり変な配置をしていたりで、必ずしもA席がどちら側になる、ということがないこともある。もっと悪いのは席と窓のかみ合わせが悪すぎて外が全く見えない座席というのが存在する列車や車両が存在することである。

こういうことを知りたい人のために、『列車編成席番表』という、まさにこういうことしか書いていない書籍まで存在し、なんと年2回も出ているが一冊3000円もする。そういう本を駆使したり、地図を見て景色をなんとなく予想したりして取りたい席の種類を確定してから、ようやく予約開始の日を待つ。

JR各社のインターネット予約サービスは「シートマップから好きな席を選べます!」なんて謳っているが、私が普段使う、一か月前の更に一週間前から予約してもらえる「事前予約」だとシートマップから予約できず、列の指定(AとかDとか)しかできない。だから「好みの側になる可能性の高い列」を選択して予約する。さらにJR東日本の場合は予約が取れても、実際に発券するまでどの番号の席が取れたかわからない*1JR九州は確定の段階でわかる)ので、予約が取れたら実際に駅まで出向いて発券に行き、出た番号がもし好みに合わなければその場で乗車変更をしてもらう。進行方向の左右については割とこだわるのだが、窓が1枚か2枚かについては、こんなことを延々とやっていると疲れ果ててしまうのでやめてしまうこともある。

一番凶悪だったのはかつて肥薩線を走っていた「いさぶろう・しんぺい」という列車で、インターネットで発売されない座席というのがまずそのもそも存在するうえに、座席配置のパターンが全部で4パターンもあり、それが走る日によって違う。それでいて途中に「日本三大車窓」の1つを通過するのが厄介なのである(これは反対側の窓はただの山の斜面である)。JR九州のお客様センターに問い合わせるとどのパターンで走るか教えてくれるのだが、ちょうどダイヤ改正の直後でパターンごとの座席配置が変わったらしく、手持ちの『列車編成席番表』と照らし合わせても、どのパターンでも手持ちの指定券と矛盾する(つまり、存在するはずのない番号の指定席が取れている)のを、新学期の定期券発行で大混雑の池袋駅みどりの窓口で途方に暮れていた記憶が鮮明に残っている。

そうやってあれこれやっていたのに、結局最後まで勘違いに気づかず、乗ってみたら思ったのと反対側でした、といったこともたまにあり、新宮から名古屋まで乗った「南紀」でそれをやらかして、反対側に海が見えているところを、線路まですぐ迫った山の斜面を延々と眺めながら名古屋まで走った。

*1:私が使っていた3年以上前の話であり、現在は使っていないのでわからない。