想像していたマティスが150キロでストライクゾーンど真ん中に投げ込まれてくる

東京都美術館で行われているマティス展を見に行った。アーティゾン美術館の「ABSTRACTION」という、その名をとおり抽象絵画を250点も集めた展覧会に行ったときに、秋にはキュビスムの展覧会があるから、やっぱりマティスも見に行かなければいけないのではないのかと思ったのからなので、当初は行くつもりは毛頭なかった。

マティスの回顧展なので、良くも悪くも自分が思っているマティスのイメージが強化された、というのが感想である。すなわち自分が想像していたマティスのイメージが150キロのスピードでストライクゾーンのど真ん中に次々と投げ込まれてくる。終わってから『もっと知りたいマティス』を開いてみるとこれに載っている作品が結構来ていたことがわかって、ああこれはマティスそのものなのだなと改めて思った。

私のマティスのイメージはポーラ美術館で見た《リュート》で(というよりだいたいのアーティストのイメージはポーラ美術館と大原美術館で印象付けられているのだが)、派手な色彩、太い輪郭線、原色の大胆な使用、そして太い輪郭線のお陰で適度にデフォルメされた物と装飾のある室内画、というもの。あとは切り絵があるのだが、そういえば室内がには簡略化された装飾が結構あるような気がするなと思ったのは出口の近くで、それを検討する方法は入館料をもう1回払って入り直すしかなかった。

しかし来年になると今度は国立新美術館のほうでマティス展がある。そこで検討することはできる。ただ、画集を買えばいいだけの話である気もする。

家に帰って「ABSTRACTION」の図録を改めて眺めていたら、白髪富士子の作品2枚は3月まで金沢21世紀美術館で行われていた「時を超えるイヴ・クラインの想像力」に出展されていたものだと気づいた。3月まで金沢にいて、6月からは東京。

このイヴ・クライン展が終わった後ぐらいに、金沢21世紀美術館ミュージアムショップで売られていたカランダッシュのクラインブルーの万年筆とボールペン(2020年の限定品)が銀座伊東屋で急に売られるようになったので、そういうことなのかもしれない。