振替誕生日

「誕生日だから」という言い訳を、いつもと同じような、会社に行って仕事して残業して帰ってくるだけ、という日のなかで消化してしまうのがなんだか勿体ない気がした。

だからといって、今日が誕生日である、ということを無理矢理忘れてしまおうと思うのも、オリンピックやワールドカップWBCなどに対して訊かれてもいないのに興味無いアピールをして、世間に流されない私格好いいみたいなことを言う人みたいでなんか嫌だった。

誕生日はどうしてめでたいのだろう、と思ったのだがたぶんキリストのおかげかもしれない。だからそういうめでたいものだという結論に行き着くのである。だったら、冒頭のようなつまらない日に誕生日の言い訳を出すのは割に合わない。生まれてきたことが特別なのであるなら、そのかけがえのなさは誕生日だろうがそうではなかろうが関係はない。直近の前後の都合の良い日に振り替えるべきである。振替誕生日。だからもう誕生日、という特定の日付には本人確認以外の特別な意味はなくなってしまうのだが、体育の日が10月10日でなくなってしまった時点で、意味を持つ特定の日付というのは、もはや「めでたくない日」だけが残っている。