夏の風物詩、ドトールバリューくじ

夏の風物詩、ドトールバリューくじが今年も開催されている。

ドトールバリューくじはドトールバリューカードで一定額以上購入すると引けるくじであり、毎年8月と12月の2回、1ヶ月に渡って行われる。昼休みは飯を食べる時間ではなく、一人になる時間である私は喫茶店でしか昼を食べないのだが、会社の近くにある喫茶店ドトールエクセルシオールだけなので、単純計算で毎回20回ぐらいくじを引いている計算である。

最初のほうは1ヶ月の間でコーヒーを引き、ミラノサンドを引き、リキッドコーヒー1本を当てて随分色々なものをもらったものである。しかし、バリューカードの利用者が増えてくじの絶対数が増えたのか、それとも単純に当たりの絶対数が減ったのか、当たりを引く回数はだんだん少なくなっていった。20枚引いてコーヒー1杯当たれば御の字、ミラノサンドなんてそもそも景品として実在するかも分からず、キーチャームしか当たらない回も出てきた。

それでもハズレ券を10枚集めればドリンク1枚と交換できたり、無条件で最上位のプラチナランクになれるブラックカードというものに応募できる権利が発生していたりしていたのだが、それもいつの間にかなくなっていた。ドトールのアプリができた頃に、アプリ内のドトールバリューカードの着せ替えという名前のハズレが登場したりもした。

そして400円ごとに1回引けたはずが500円で1回になったうえ、2022年の冬はついに開催すらされなかった。世知辛い世の中になったのをこのドトールバリューくじの移り変わりだけで感じることができる。

だから今年の夏は果たして実施するのか、密かに楽しみにしていたのだが、無事に開催された。しかし今年も500円で1回のうえ、純然たる「ハズレ」が登場した。一番豪華な景品もドリンクであると明示されている。

本筋とは外れるが、くじの形式が圧着紙をめくる形式だった。ずっとくじに直接当たりはずれが書かれていたのだが、一時期コインで削る形式になっていたことがある。ドトールバリューカードはカードでタッチしたりバーコードで読み取るというキャッシュレスが売りのはずなのに、そうして決済してもらえるくじにコインが必要という矛盾が面白かったのに、ちゃんと社内での矛盾に気づいた人がいるのだろう。しかしそこに金をかけたおかげで景品がショボくなってしまったのならそれは残念と言わざるを得ない。

ミラノサンドやリキッドコーヒーをくれたあのドトールバリューくじはもうない。でも会社の近くにドトールエクセルシオールしか存在しない限り、私はくじを引き続ける。そこに参加の意思は介在しない。季節と同じで、向こうから勝手にやってくるものだ。ほぼ日手帳の予告と同じ、8月の始まりを告げる夏の風物詩。