自分が鉄道の何に詳しいのかわからない

  1. 鉄道反対運動
  2. 東京~大阪間鉄道は東海道経由で計画されたが、軍の圧力で中央線経由で建設された
  3. 岐阜羽島駅大野伴睦の圧力で作られた政治駅

の3つは日本の鉄道界三大デマだと勝手に思っていて、1と2は青木栄一『鉄道忌避伝説の謎』(吉川弘文館)に詳しい。3に関しては多分に池上彰がそう書いちゃってるからだと思うが、小牟田哲彦の『鉄道と国家』に確かその辺りの事情が詳しく書かれていたはずである。

日本の鉄道には確かに全部乗ったけれど、鉄道には実はそんなに詳しくなくて、例えばEF67の27号機がなんでそんなに人気なのかとか、電車の動く仕組みとかブレーキの種類とか電動機の種類とかの技術面だとか、「◯◯から◯◯まで何を使えば安く行けるか」という料金面も実はそんなに詳しくない。じゃあ鉄道の何に詳しいのかというと実はあまりよくわかっていない。交通史とか車両史とか、または自分の興味のある特定の鉄道会社や車両に関しての知識はあるけれど、それ以外に関しては「普通の人」より多少鉄道について知っているだけで、案外「詳しい」の部類に入らないのかもしれない。

思えば『時刻表2万キロ』でお馴染み紀行作家の宮脇俊三だって車両にはそれほど詳しくないことを自白しているし、氏の著作で車両の形式名はほとんど出てこない。たぶん鉄道そのものより、そこから見える景色と、乗っている人のほうへの興味のほうが強いのだろう。車窓から見える家の屋根の記述は特に詳しい。

ちなみに『鉄道忌避伝説の謎』は鉄道好きだけではなく、史料を検証するとはどういうことか、ということへの言及もあるので、広く歴史学を学ぶ人にお勧めできる本である。