相互に繋がりあう瞬間が協和する周期を意識せずに生きていく

麻布台ヒルズに行った。目的はオラファー・エリアソンだった。オラファー・エリアソンと言われてもよほど現代アートに詳しくないとピンと来ないかもしれないけれど、金沢21世紀美術館の外にある、あのカラフルな螺旋状のガラス板の真ん中に白いガラス玉が立っている謎の遊具みたいな奴を作った人、と言えばピンと来るかもしれない。だから、たぶん日本で一番有名なエリアソン作品はこの《カラー・アクティヴィティ・ハウス》(2010)だろうと思う。真っ先に挙げなければいけないのはテート・モダンの中に太陽を作ったでおなじみ《ウェザー・プロジェクト》なのだろうけど。

麻布台ヒルズでオラファー・エリアソン展が行われるのはその麻布台ヒルズのランドマーク、森JPタワーの中に《相互に繋がりあう瞬間が協和する周期》が作られたからであって、展覧会も「麻布台ヒルズギャラリー開館記念」と銘打っている。出展数15点、うち10点は小さいドローイングであり、1点は体験付きチケットを買わないと触れないうえに会期中の土日と2月までの体験付きチケットはすべて売り切れている。だから実質的には5点と本当に小さい展覧会であるし、展覧会名でかつキービジュアルの《相互に繋がりあう瞬間が協和する周期》は前述の通り森JPタワーのオフィスロビーに展示されているからギャラリーの中には展示されていない。

《瞬間の家》はインスタレーションの作品で、暗闇の中で2秒ごとに短く光が発せられ、放水されている水に当たって、何かの閃光のようなものを生み出すものなのだが、あまり長くいたら少し気持ち悪くなってきた。

エリアソンの作品を一言で表すのは難しい。自然、気象、幾何学、新しく生まれる知覚、みたいなキーワードが浮かぶ。ただ私も前述の《カラー・アクティヴィティ・ハウス》の他に昨年のテート展に来ていた《星くずの素粒子》ぐらいしかエリアソンの作品には触れたことがない。自然と人間の間を幾何学的物体や規則を通じて行き来させる、そんなようなものではないかと、ギャラリーの横で期間限定で設置されているカフェで夕飯を食いながら思った。ここで飯を食べるまでがエリアソン展です。