冬の宮島はどこもかしこも穴子か牡蠣か(広島紀行: 9)

冬に広島に行くとどこもかしこも牡蠣である。居酒屋も牡蠣、お好み焼き屋も牡蠣、果てはカレーパンにも牡蠣である。しかし私は牡蠣が食べられない。だから宮島に行って食べられるものは穴子しかない。宮島には牡蠣屋か穴子屋しかない。ただ、結構な数の店が「都合により」休んでいるので、なんとか開いている穴子屋を探してそこに滑り込んだら幸い待ち時間なしで中に通された。穴子は「うえの」のあなごめしを食べたことがある*1のでもう特にこだわりはない。午前中に水族館と厳島神社をぶち込んだので少しゆっくりしたかったが、外を見たら待合室に人が溜まり始めていた。待ち時間なしで中に通されたのは一体何だったのかよくわからないが、とにかく後ろの人の迷惑になりそうなので、あまりゆっくりせずに店を出た。

宮島はなんだか江ノ島みたいだと思った。狭い道の両側に「外国人がイメージする日本的なもの」を売る土産屋が立ち並び、食べ歩きができる店があって、そのうえ神社まである。広島駅から電車で30分強、都会から少し離れたところにある観光地であるというところも、江ノ島のイメージと重なる。石を売っている店できれいな石を売っていたので買ったら、どうやらチェーン店らしく江ノ島にも同じ系列の店があるようだった。

コーヒー屋に入る。ドリンクの店はどこもレモンを提供するが、コーヒー屋もちゃんとある(ただしうち1軒は「改装中」でやっていなかった。)。1月のクソ寒い日で素直にコーヒーを頼めばいいのに、うっかりコーヒーサンデーを注文してしまった。いや店内は暖房が効いているからコーヒーサンデーでいいのである、と思ったが、今時の店にありがちな開口部の広い、コーヒースタンドを大きくしたような店なので中も大して暖かくない。大して暖かくもないけれど上着を着たままなら別に寒くもないという店でコーヒーサンデーを食べていたら、水族館に再入館するには短く、この参道を歩いて回るには長い、絶妙に中途半端な時間が余った。

*1:正確には「うえの」の駅弁である。これを食べるのも大変だったのだが、長くなるので省略する