全線乗車は続くよいつまでも

日本国内の鉄道路線全線乗車の面倒くさいところは新しい路線が開業するたびにそれに乗らなくてはいけないところであり、1日でも「全線乗車」と言えなくなるのが嫌な人は開業日に合わせて乗りに行くらしいが、私にはそのようなこだわりがないのでしばらくの間は乗らないでいる。去年宇都宮に路面電車ができたのだが、それに乗らずに放置していたが、あまり放置していると乗っていないことを忘れそうなので乗りに行った。

宇都宮というのはなかなか絶妙な位置にあり、東北本線普通列車で行くと2時間もかかるが、かといって新幹線を使うと5000円もかかる。でそうやって行ったところで別についでの用事がある訳でもない。せいぜい宇都宮餃子を食って帰るぐらいである。

そうしてまたひとつ乗り終えたところで、1ヶ月もしないうちに北陸新幹線敦賀まで開業してしまうし、北大阪急行という御堂筋線の北に繋がっている路線が地味に延伸する。新幹線ができるのはいいのだが、問題は並行する北陸本線がJRから移管されてできるハピラインふくいという私鉄である。新幹線のいわゆる並行在来線をどうするか問題は割と「改めて乗りに行く」派が多いらしい(印象)が、私はそうしていない。難しく書くと鉄道路線の譲渡区間を未乗扱いにするのか、という話だが、それを未乗扱いにしてしまうと、例えば今年の4月に箱根登山鉄道小田急箱根という名前になる。これは単なる会社名の改称ではなく小田急箱根を存続会社とする吸収合併だから、今まで箱根登山鉄道として乗っていた区間は未乗区間となり、改めて乗り直さなくてはいけなくなる。

同じような事象は2019年にも起こっており、東京急行電鉄は東急に商号変更したあと、東急電鉄に鉄道事業を継承させている。

更に言うと2021年の12月に伊豆箱根鉄道十国峠ケーブルカーだけが会社分割により独立して十国峠という会社になったのにも乗りに行かなくてはならなくなるんですが乗ったんですかという話で、遡れば大阪市営地下鉄が大阪メトロになったときとか、もっと極端な話をすると国鉄がJRになった時に全部乗り直さなくてはいけなくなる。

でも全部乗り終えると出かける口実が1つ減るので、出かける口実にしてしまうのかもしれないけれど、十国峠のケーブルカーにもう一度乗るのは面倒くさい。1時間に1本のバスに50分揺られないと着かないうえ、数百メートル登った先には展望台とドッグランしかない(当時。今はどうか知らん)。