キャラクターへの執念

本屋の絵画技法の本棚に行ったらミニキャラの描き方の本というものを見つけて、これが1冊でなく、類書が複数出ている。つまりそれだけミニキャラを描く需要があることであって、逆を言えば類書が数えられるぐらいしか出ていない程度の需要しかしないということでもある。

ぱらぱらとめくって見て、これぐらいのデフォルメ感のものが描ければいいんだよな、と思った。体格とか顔の輪郭とかでキャラクターの描き分けができないというかそこまで考えるのが面倒くさいからやらなくていいと思っている私にとって、せいぜい1.5~2.5等身の大きさで、体のパーツの輪郭もキャラクターによってほぼ差がないミニキャラという概念はちょうどいい。それまで何冊かイラストの技法書的な本は買ってみたけど、別に構図がどうとか背景がどうとかあるいは人体が解剖学的にどうとかいうのはやっぱりどうでもいいんだよなとしか思わなかったけど、ミニキャラならそういう「細かい」ところまで練習したり勉強したりする必要がなく、そのうえでキャラクターごとにどうやって差をつけていくかなんて考えなくていい。ただ対象を円筒、球、円錐で捉えればよく、残りの時間を美術の本とか哲学の本を読む時間に充てられる訳だ。

別に絵に物語なんていらない。ただ単純に「キャラクター」が描ければいいんだろうと思う。昔小説のようなものを書いていたときも、今考えると書きたいのは「物語」ではなく、「場面」であったり「キャラクター」そのものだったのかもしれない。

なんだかんだで小学生ぐらいの頃からキャラクターのイラストを描いているけれど、イラストの技法書なんて買ったのはここ1年ぐらいの話で、それまではただ単純に既存のイラストを見様見真似で写してきただけである。「ただ可愛いキャラクターを描きたい」という執念だけがそのモチベーションを支えていた。キャラクターへの執念。