身体が美術展を欲している

本当は来週行くつもりだったけど来週のほうが天気があまり良さそうでなかったのと、なんか美術館に行きたい気分だったので根津美術館に行ってきた。西洋美術館で「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」を見たのが最後だったので別にしばらく行っていなかった訳ではないのだけど、でもなんか行きたかったので行くことにした。一応展覧会を称してはいるけれど要するに尾形光琳の燕子花図屏風を観るための会で、たぶん客もそれが目的だし、あとの理由は後付だろうと思う。美術館の側もたぶんわかっていて燕子花図屏風が一番神々しく展示されている。もともと燕子花図屏風が神々しいのかそういうふうに展示しているのかはわからないけれど、明らかに他の屏風絵とは雰囲気が違うのは、余白を埋め尽くした金箔と半ば幾何学模様と化した青と緑のリズムとリフレインだろう(こう書くと音楽みたいだ)。

6つある展示室で燕子花図屏風と関連付けて展示しているのはそのうち2つだけであとは全く関係ないのだけど、アンデスの染織が意外と面白かった。古いものだと紀元前のものがあるのだけど紀元前とは思えないぐらいデザインデザインしているし、デフォルメは面白いし、なんかキース・ヘリングみたいな謎のキャラクターもいる。あと中国の青銅器はどいつもこいつも面白い模様と形をしていて興味深い。ショップでそればかり集めたカタログも売られていたのだけど、カタログの写真になると現物を目の前にしたときの重厚感と威圧感がなくなって魅力が3分の1ぐらいになるので買わなかった。

そのショップではちゃんと燕子花図屏風の左隻と右隻を両方横長の大判ポストカードで売っていて、これはA4版2ポケットのファイルに見開きで入れれば展示と同じように鑑賞できるぞと思ったのだが、家に帰ってファイルに入れたら横幅がA5版より多きいのでA4版2ポケットのファイルには入らなかった。

庭園のカフェは激混みだったが茶室でお茶を頂けるらしかったので頂いてきた。カフェはいつでも開いているが茶室はいつでも開いている訳ではない。器に入った抹茶を飲むという経験はこれからやきものを鑑賞するうえで絶対に役に立つはずなのだ。しかし一応来る前にドトールで軽くジャーマンドッグを食べてきたとはいえ、カフェでちゃんと昼食を摂ろうと思っていたので出る頃にはすっかり腹が減っていた。15時前の表参道、食事をできる店が混んでいない訳がない。