世間の人は鉄道旅行イコール貧乏旅行だと思っている

魚を刺身以外の調理法で食べるのがあまり好きではないので、魚は刺身にしてもらわないと食べない。秋田の居酒屋でキスが出てきたときに「じゃあ刺身にしてください」と言うぐらいである。

生でない魚は食感と味があまり好きでないのと、昔から手先が不器用なので焼き魚をうまく食べられないのが理由である。それで冬の金沢に行った時ノドグロも刺身で食べたのだが、その辺の白身魚とあまり変わらない気がしてそこまで感動がなかった。次の店に行ったらノドグロの煮付けを食べている人がいて、どちらかというとそういう調理法で食べるものなのかもしれない。

しかし上記の理由から、あまり積極的に刺身以外の方法で注文したいとは思わない。ただ、出てきたものについては極力食べるようにしている。釧路の炉端焼きの店でホッケを食べたのは多分何かと一緒に出てきたからだと思うが、これが私が人生で一番、というより唯一美味しいと思った生でない魚である。

釧路に関しては生の魚も当然美味しくて、翌朝和商市場で食べたトキシラズのすこぶる美味だったのも忘れられない。列車までまだ時間があったので市場をふらふらと歩いていたら5000円ぐらいするトキシラズをうっかり買わされそうになったが、旅行の目的を訊かれ「鉄道です」と答えたら「鉄道が目的の人は金ないもんな、しょうがないな」と言われて放免された。同業者の吝嗇家であることを感謝したのはこの一度だけであるが、世の中の人間から鉄道旅行=貧乏旅行と思われているのも如何なものかと思う。