人類の歴史の先にはどこでもドアがある

東京出身ではないけど、東京の人に対して歩くのが早いと思ったことはない。寧ろよくこんなにゆっくり歩けるなと思うぐらい。私が唯一歩くのが速いと思ったのは朝か夕方のラッシュ時に大阪駅や阪急梅田の駅から御堂筋線に至る通路を歩く人達であり、東京の人は歩くのが速いという人をここに連れて行ったらどう思うのか気になる。ただ学生の頃から東京に出入りしているのに対し大阪には何度も行く訳ではないから大阪を歩く時は東京を歩く時よりゆっくりになる。だから必然的に大阪の人のほうが歩くのが速く見えるだけなのかもしれない。更に最近は東京にいるのは観光客ばかりだから、東京を歩いているのは東京の人だけではないのかもしれないけれど、これは東京に観光客があふれる前からそう思っているのだからこれは全部あてはまるわけではない。

「移動の時間を短くしたい」、大多数の人はそう言う。その割に歩くのは遅い。移動の時間を短くしたいのか長くてもいいのかよくわからない。だいたいのサービスは長く使えば使うほど金がかかるのに、交通機関は使う時間が短くなればなるほど金がかかる不思議なものであると言ったのは確か宮脇俊三だった。なるほど鉄道は昔から、速い列車には特別料金を徴収してきた。人類の歴史はいかに速く移動するかの歴史だったと言ってもいいかもしれない。だからこの先には超伝導リニアがあり、どこでもドアがある。でもみんな、どうしてあんなにゆっくり歩けるのか、それだけはよくわからない。