キービジュアルが「硯箱」の展覧会があるらしい

「バレンタインデーは所詮お菓子会社の広告」とバレンタインデーを蔑む人は、初詣だって鉄道会社の広告なのだから冷笑してやり過ごさなければならない。初詣は所詮150年の歴史しか無い「文化」である。

しかしながら、自分が最近世界のなかにいないからかもしれないけれど、クリスマスをヘイトする人は未だに見かけど、バレンタインをヘイトする人はあまり見かけなくなった気がする。紆余曲折を経てただ単純に美味しいチョコレートを食う日へと変わってきたからかもしれない。かくいう私もこの時期になると神戸フランツが東京に出てきて神戸苺トリュフを売ってくれるのを楽しみにするし、あるいは上野の駅のニューデイズでなぜか売られている蒜山ショコラなどを東博や西洋美術館に行ったついでに買ったりする。

中尊寺金色堂展を観に行こうと東博に行ったら入場規制をするほどの大混雑だった。やっぱりやめてこのまま帰るのも癪だったので本阿弥光悦のほうを見た。キービジュアルが「硯箱」というのも、「始めようか、天才観測。」というキャッチコピーも全体的に狂っている。「大宇宙」と銘打っているように、刀剣、書、茶碗に漆とその影響の範囲はとらえどころのない宇宙のように広がっている。そして2年弱の美術館通いではせいぜい茶碗を少し見たことがあるぐらいで、書も刀剣もそれほど見慣れていないから、まさしくその宇宙のなかを漂っているような感じだった。

キービジュアルが硯箱だからグッズも当然硯箱で、硯箱のマスコットなども売られているのも十分狂っている。今で言う筆箱のキーホルダーが売られるようなもので、そんな狂ったものがあるかと思っていたら、THE文具ミニチュアマスコットというキーチェーンのガチャガチャが世の中には存在し、その第4弾になんとクツワの筆入れがあるという。世の中よくわからない。

東博でチケットを買うと意地でも閉館までいようとしてしまうのがよくない。総合文化展に足を運んだら呉昌碩の展示をしていて、しかもいくつかの博物館との合同展示で、図録まで出ている。思ったよりもすごい人だったらしい。

しかし中尊寺展をあきらめた訳ではない。夜間開館をしてくれるようになったので、当然の如く夜間開館日の閉館1時間前に行くのである。ということでまた土曜日を上野に捧げなくてはならない。