夜行バスから降りたあと読んでも眠くならない哲学の本

抗不安薬を飲んでから夜行バスに乗りたいとかつてのたまっていたのだが、確かに目をつぶってからスムーズに意識が落ちかけるような気がした。

夜行バスで寝たんだか寝ないんだかわからない時間を8時間も過ごしたあとで哲学の本を読むようなものではないが、コーヒーを読みながら席に座って落ち着いていれば別に読んでいても眠たくならない。10年以上実家で眠っていた『現代思想の冒険』(竹田青嗣)は要するに夜行バスから降りた後に読んでも眠くならない本である。しかし大学生当時の自分が一体この本に書いてあることをどれぐらいわかっていたのかはもはやわからない。今でもボードリヤールの消費論なんてよくわからないのに、哲学に深く触れている時間なんてなかった大学生の自分がどこまでこの本を読めていたのか。あれから10年以上たって私も少しは賢くなった。付箋をつけながら読んで、あとでノートにまとめ直す。それぐらいゆっくり読むということを覚えたのである。

8時30分になったのでにしむら珈琲店の中山手本店に行った。にしむら珈琲店の創業の場所、いわば聖地である。目当てのナガサワ文具センターは10時開店である。鉄道に乗っていた頃は3時間30分も喫茶店で過ごすなんてありえなかったのだけど、今回は別に鉄道に乗りに来た訳でもないし、バスの中で8時間も過ごした後で凝り固まった体がもとに戻るには3時間30分ぐらい必要である。多分。

どちらかといえば色々な店に行きたいタイプの人間なので同じ町にいったときに同じ店に行くことは珍しいのだけど、京都はソワレ、大阪はニューYC、そして神戸ならにしむら珈琲店とコム・シノワ。ここは2回以上行っている。一度行ったからこそ場所もメニューもわかっているから考える暇がない時に入るだけとも言うし、お気に入りとも言う。でもそもそも同じ町に何度も滞在するということがないんだよな。あとは長崎の冨士夫ぐらいだろうか。冨士夫は少し長崎駅から遠いからわざわざ行っているという感じがする。