乗るまでが最高系

飛行機は乗るまでが最高系の乗り物だと思っている。

地上から空港に近づくと滑走路や待機場に飛行機の垂直尾翼などが見えてくる。建物のなかに入ると大きな空港だと行き先案内に色々な土地の名前がずらりと並んでいて、それを見ているだけで楽しくなるし、どこへでも行けるような気がする。行ったことのない空港にはいつか行ってみたいと思う。ターミナルの中には土産物屋があってレストランがある。そこで時間を潰すのもたのしい。適度に時間を過ごしたら保安検査場を通って、いよいよ乗るべき飛行機と対面する。搭乗口に表示された自分の便名とその行き先を見て、付いた先の空港の景色に思いを馳せる。そして、搭乗開始のアナウンスがあって、ボーディングブリッジを通って飛行機に乗り込む(ちなみに私はまだタラップカーから飛行機に乗ったことはないが、タラップカーから降りたことはある)。

このぐらいがテンションの一番高いところである。中に入って手荷物を上に入れたら、あとはひたすら出発、離陸、着陸、到着まで、時間が過ぎるのを狭いシートの中で待つばかりである。窓際が取れ、かつ晴れていればいいものの、うっかり中型より大きい機材の真ん中の島に座ってしまおうものなら、もう景色も何もあったものでもない。

最近はだいぶ飛行機に乗る機会が増えた。飛行機ばかりに乗っていると、移動の時間は移動の時間を楽しむものではなく、それ以外のことをする時間だと考えるようになるのはごく自然なことなのかなと思う。鉄道やバスでは途中の風景の移ろいがあるけれど、飛行機にはそれがない。外を見ていても下は雲ばかり、そもそも外を見るという概念すらない席もある。移動は楽しむものではない。だから人は移動時間を短くしたがる

飛行機のこだわりはあまりない。LCCは選ばないことぐらい。ただ、福岡に行く時はだいたい黒いアイツに乗っている。