冬は滅ぼさなければならない

どれぐらい冬が嫌いなのかというと、冬になると人生をやめたくなる。冬を滅ぼすか人生をやめるかの選択になったときに、そのどちらの選択肢も取れない自分が嫌になる。冬に嫌悪しているのか自分に嫌悪しているのかわからないまま、11月から3月という長い冬を沈んだ気持ちで逃げるようにやり過ごす。

しかし私もいつまでも冬に対して無策である訳ではない。小さいヒーターを買って足元を温め、寝具はニトリのNウォームの「いちばんあたたかい」で固めた。これは本当に暖かい。初めてこれを被って寝た時に、勝利を確信した。掛け布団に1万円出してみるものである。全身ヒートテックかNウォームで身を固める。これであとは遮熱パネルを窓に貼れば完璧なのだが、部屋の構造上これができないので仕方なく遮熱カーテンを引いている。冬は季節ではない。戦う相手なのであり、戦場そのものなのである。

冬の旅行は荷物が多くなる。中に着込む服を余計に持っていく必要があるし、旅先で手袋を落とすリスクもある。スマホに分厚いひび割れ防止カバーを貼っているとタッチパネル対応の手袋をしていても写真を撮るのが難しい。暖房が入った店で上着を脱ぎ着するのが面倒くさい。

旅行じゃなくても、着込むものが増えるので5分早く起きなければならない。いつもより寒い朝を余計に長く起きていなければならない。サッシは結露する。風呂上がりの脱衣所の寒さ。じゃあ風呂に入らないほうがマシだ。

何一ついいことはない。冬は滅びるべきである。冬は滅ぼさなければならない。