部活に入って人生をサボろう

いま考えるとどうして部活というものに従順だったのかよくわからない。本当に従順だったか周りから見ると怪しいかも知れない。「やらなければいけないこと」以外のことをやるのはあまり好きではなかったし、自主練などは嫌いだった。やらなくていいことはやらないことしか考えていなかった。しかし自分が学生時代を思い出すたび、その大部分を占めていたのは部活をしていたことであり、事実部活以外に特に何かをしていた記憶もない。ろくに勉強もしていないし、アーティストに夢中になるとか、作家の作品にのめり込むということもなかった。

たぶんきっと楽だったからだと思う。平日は毎日、土曜も半日は練習があった。それは大学に入ってもほとんど変わらなくて、週5回も練習があった。部活(やサークル)に入っておけば、その練習の時間はそれをしておけば「なにかをしている」ということになった。授業以外に、なにかをしていなければならなかった。アルバイトに応募して普通に落ちるぐらいには就労意欲がない。そんな人が何かをして授業以外の時間を埋めるためには、サークルに入るなり部活に入るなりするしかなかった。

「部活があるから」それを言い訳にして、私は何もしてこなかった。授業に出て、部活さえしていれば、あとは時間が勝手に流れていってくれた。「今の学生は真面目になった」、大学生だった頃、なにかの授業でそう言われた。真面目になったのではない。他にやりたいことがなくて、仕方なく暇つぶしに授業に出ていただけだ。それが誰にも悪いと思われない時間の使い方だった。そうやってただひたすら、受け身でいられる時間を謳歌していた。