読んだ貴方が悪い

昨日と全く同じ感覚で目を覚ました。午前3時30分。

――うん、「また」なんだ。済まない。

すなわち風呂に入らないまま寝落ちたということ。強化ガラスの向こう側は雪が積もった夜のように、かすかに白い。夏に釧路に泊まった時、午前4時30分にはもう完全に明るかったのを思い出す。

時間という概念さえ、この金曜の夜という状態で消えてなくなってしまえばいいのに――風呂が湧き上がるまでの間にふと思う。時間という概念が消え、未来という概念が消えれば、永遠の現在と、しょうもない過去だけが残される。しかし少なくとも、あと何年続くかわからない未来に絶望することもない。

ノートはやはり吐き出す場で、「読み手のことをかんがえましょう」なんて馬鹿馬鹿しすぎる。読んだ貴方が悪い。共感されたい訳なんかじゃないんだ。卒業アルバムいらないなんて誰も共感なんかしないだろうし、クラスの思い出なんて「ふつうの人」にとってはかけがえの無い思い出である。何かを発信したいわけでもない。自分の言葉が作り出した言葉のなかで、ただひとりぽつんと立っていたい。でもただノートの中に置いておくだけでは息苦しくて、公の場に身を晒していたい。そのほうが、ぽつんと立った時に感じる孤独さが、より鋭くなるから。

午前4時44分、今日最初の蝉が鳴く。もう寝るのも面倒くさい。